南京東路690号
かつて南京路の消費の中心であった4大デパートは1910年代から30年代にかけて次々とほんの数十メートルの区域に登場しました。最初に建てられたのが、1917年に開店したシンシアです。建物はノースチャイナデイリーニューズ&ヘラルド社にもたずさわったジョンソン&モリス事務所設計によるものです。シンシアの創設者である広東人の馬応彪は、オーストラリアで果物の商売で成功した資金をもとに1900年に香港で、1911年に広州で百貨店シンシアを開きました。上海の建物には東亜酒店(ホテル)やレストランが入り、屋上には娯楽施設が設けられました。シンシアの最も革命的なところは、昔から行われていた定価をつけず売り手と買い手が交渉で値段を決めるという商業習慣を一掃し、はっきりと値段を表示したということです。日曜日を休業日としたり、女性を店員としたのもシンシアから始まり、のちに4大デパートと称されるのこりの3店の百貨店もすべてシンシアのやりかたが手本となりました。
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