銅仁路333号
北京西路と銅仁路の角に周囲の建物とは異彩をはなった建築物が建っています。この呉同文邸は1935~37年に建てられた著名建築家L.E.Hudecの作品です。Hudecは国際飯店、大光明大戯院、慕尓堂、花旗総会などさまざまな傑作を世に生み出してきました。呉同文住宅と達華公寓は彼の上海における最後の作品で、前者は住宅に新しいスタイルをとりいれた設計のお手本ともいえる建築物です。呉同文といわれても地元の上海の人たちでさえ聞いたことがない名前かもしれません。しかし彼の岳父は蘇州の名家貝氏の貝潤生です。かつて蘇州だけでなく国の宝とも言える蘇州の名園獅子林まで買収する力を誇っていた貝潤生は蘇州ばかりか上海にもたくさんの住宅を所有していました。呉同文邸の土地も貝家のものです。彼がこの土地を選んだ理由はとてもシンプルなものでした。愛文義路(現在の北京西路)と哈同路(現在の銅仁路)に自分の名前である同文という二字が入っていたからです。
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