端午節の由来は中国の故事に由来します。
楚の文人屈原(BC343~BC278)が、国を憂い、将来を儚んで入水自殺してしまった日が5月5日です。人々は屈原の遺体を探すために川に船を出しましたが遺体は見つからず、屈原が魚の餌になるのは耐え難いと、船から太鼓を叩いて魚を追い払ったり、川に粽をまいたりしました。
そうして、それ以来、5月5日に屈原を偲んで川に船を出すという習慣が生まれ、それが龍船(ドラゴンボート)レースとして発展していきました。
古代中国では虎は百獣の王であり、悪を除き吉を招く吉祥獣とされています。地方各地でヨモギの葉を摘んで作った虎を門戸に飾って邪気を払う習慣がありました。
朝鮮王朝時代にも、王が艾虎を臣下に配ったとあります。
ヨモギは民間薬としてさまざまな薬効があるため、端午にヨモギを飾ったり食べたりするのは無病息災を祈る気持ちが由来するようです。
そしてまたこの日にはナツメの樹に嫁樹を行う日であると歳時記に記されています。果樹の枝と枝の間に石をはさむと果実がよく実るという中国の『農政全書』によるものです。
端午を韓国ではスリナル(수리날/戌衣日)といいました。スリ(수리)の語音が朝鮮のスレ(수레/車)に通じることから、車輪形のヨモギ餅を時食として作ります。この時、ヨモギはハンシク(寒食)時のように柔らかい新芽ではなく、繊維質の多い成葉ばかりになっているので、葉をすりつぶし、米粉にまぜて緑色がつくように長くこねて餅を作ります。これは、俗称でケトック(개떡/犬餅)と呼ばれるものです。
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