津和野百景とは、最後の藩主側に仕えた御数寄屋番(茶道士)栗本里治が描いた津和野の美しい自然や風景、年中行事を描いた100枚の絵図です。
最後100枚目は、「百、主侯の遠馬」。藩主の日課遠乗りに茶道具を持って追いかける本人と思われる図で締めています。藩主は遠乗り後にお茶を飲んだのです。茶作りを奨励した津和野では、青野山の山麓で5月に茶摘み風景が見られます。その風景を求めて山麓に茶の木が並ぶ道を歩けば、期待に違わぬ風景に出会えました。午前中に刈った茶葉を大釜で炒っては蔵の中に据えられた小さな揉捻機で揉んで庭先に広げた筵の上で日干しにする。釜炒りに使用している飴色の木は代々使っているのでツヤツヤです。80代のお母さんがかつて織った筵、現在はこのように作ることができません。現在の稲は台風に倒れないように改良されて背が低いので筵はつぎながら織られているのです。97歳の木地師史家の家でも、明治中期から昭和初期にお母さんが茶を揉むのに使っていた筵がありました。お母さんの形見として残したのだとか。
いつまでも百景図の風景そのままに。庭先まで持ってきてくれた茶は初夏の爽やかさそのものでした^_^
2022年5月27日facebook記事より