茶樹を祖とする德昂族の茶人生

「茶は德昂族の命、德昂が暮らす場所には茶山があり、茶山が有る場所には德昂の物語がある。茶の産湯に浸かり、茶を生業とする生涯、茶葉を引き詰めた棺に横たわってこの世を去る。德昂は茶の香りを纏う民族」
天地開闢の時代、天界に小さな茶樹が生まれました。美しい色にあふれた天界に比べ、色のない荒涼とした下界を見て憂えた茶樹は神様に地上に降りることを願い出ました。
神様は言いました。「天国から地獄に堕ちたものは、二度と天には戻れない」
茶樹は臆しませんでした。「大地が緑になるならば、どんな苦難も厭いません」
すると、狂風が茶樹の体をずたずたに切り裂き、葉を吹き飛ばします。神様が茶樹に与えた試練でした。風におどる102枚の葉は51人の頼もしい若者と51人の美しい娘に化身しました。
ごうごうと唸る洪水に没した大地に落ちた化身たちは、吹き荒ぶ風と止まない雨の中漂流しながら、数えきれない脅威に団結して立ち向かいます。実に一万一もの禍を打ち倒した化身たちは神様に許され天界に戻りますが、一番若い男女が地上に止まりました。それが、德昂族の始祖となる達楞(曽祖父の意味)と亜楞(曽祖母の意味)です。by長い長い創世神話古歌の超短縮要約
〈歴史〉
古い歴史をもつ少数民族の一つです。ルーツは雲南大理西北海抜1980mの高地に広がる淡水湖洱海にあり、元明代まで保山龍陵、徳宏州、ミャンマ北部に暮らしていましたが、清朝嘉慶19年(1814年)にタイ族土司の圧政に耐えかね蜂起して、ほとんどがミャンマ北部に敗走しました。雲南に留まったのはほんの一部、1949年建国時人口調査では6000余、現在に至っても最も人口の少ない少数民族です。中国側では德昂族、ミャンマー側では崩龍族と言います。
画像は、ミャンマーシャン州に暮らす崩龍族の織り。女性が農作業中頭に巻く布です。織の緑を見て、シャン州の茶山を思い出しました🙏

~2024年5月2日facebook記事より

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次