毎春の茶が芽吹く頃羊楼洞にやって来て冬に去る茶商を当時の人たちは“雁行”と呼んでいました。
安徽省江西省からやってくる製茶工、咸寧の包装工、米商人、布商人、小売商人、旅館や妓院が立ち並び、人の流れが途切れないのは、すべて晋商と密接な関連があったのです。
≪羊楼洞に住んでいた女性が渡り鳥のような恋人(紅茶客人(晋商))を歌った歌謡≫
正月里,正月正,何日望得茶发生,姐若耶,姐在房中急闷闷。
(一月は正月、いつ茶は芽吹くのか、姐さんや、姐さんは家で悶々)
二月里,是花朝,船在江中水漂漂,姐若耶,姐在房中好心焦。
(二月は花神の誕生日、船は江に漂い、姐さんや、姐さんは家でジリジリ)
三月里,是清明,红茶客人进了门,姐若耶,姐在房中笑盈盈。
(三月は清明節、紅茶客人がやってくる、姐さんや、姐さんは家でニコニコ)
四月里,四月八,梳妆打扮去采茶,姐若耶,梳个盘头好插花。
(四月は花まつり、化粧して茶を摘みにゆく、姐さんや、髷に花をさしている)
五月里,是端阳,而今姐儿愛漂亮,姐若耶,浑身摸的是麝香。
(五月は端午節、姉妹は美しく、姐さんや、麝香がプンプン)
六月里,是伏天,漂白的褂子去托肩,姐若耶,夏布小衣扫脚尖。
(六月は夏の土用、白い上着をはおり、姐さんや、夏服ユラユラ)
七月里,七月半,紅茶老茶拣一半,姐若耶,日落西山收捡盘。
(七月は中元節、紅茶老茶選別、姐さんや、日が落ちるまで忙しい)
八月里,是中秋,紅茶客人把秤收,姐若耶,姐在房中把客留。
(八月は中秋節、紅茶客人は秤をしまう、姐さんや、姐さんは家で客を引き留める)
九月里,菊花开,紅茶客人把箱排,姐若耶,姐在房中哭哀哀。
(九月は菊花が開く、紅茶客人は茶箱出す、姐さんや、姐さんは家でシクシク)
十月里,小阳春,紅茶客人要动身,姐呀若耶她,收拾打扮送客人。
(十月は小陽春、紅茶客人は旅立ち、姐さんや、客人見送る準備)
冬月里,大雪飞,郎走东来姐走西,姐若耶,手扯衣角指眼泪。
(十一月は大雪、男は東へ女は西へ、姐さんや、着物の端で涙をおさえる)
腊月里,满一年,红茶客人到了山西边,姐若耶,吃了年饭思姣莲。
(十二月で満一年、紅茶客人は山西省に到着し、姐さんや、年越し料理を食べている)
歌詞の山西紅茶客人は、楡次常家傘下の大涌玉、慎独玉など、茶葉をロシアに輸出する東路茶商のことを指しています。
~2016年9月26日facebook記事より