標高3000~4000mの高地に住むチベット人は、ビタミンの補給、肉食による血液の酸性を中和、消化促進、免疫力増強などの理由から昔からバター茶を必需品としてきました。
バター茶に使われる茶葉は、磚茶または団茶と言われるレンガやお椀のような形に固められた固形茶です。運搬の便利さと保存性が高いことから遊牧民の間では現在も磚茶が使用されています。
チベットのバター茶の淹れ方は、銅製の鍋に水と固形茶とブントと呼ばれる天然の炭酸を入れます。それを煮てから茶葉を取り除いて茶を鍋に移し、汲み上げては注ぐ動作を繰り返して香りを出します。これをドォモ(チャイドンとも言います)と呼ばれる大人の腰くらいの高さの木製の筒状の道具に入れ、バター、塩、ヤクなどのミルクを入れて撹拌します。出来上がったバター茶はヤカンで沸騰させないように注意しながら温めて飲みます。
ダージリンにあるチベット僧院のバター茶作りも同じ道具を使っていました。茶葉は中国産固形茶ではなく、ブータン王国国境近くのカリンポン(Kalimpong)で作られたものだそうです。
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