重三節はツバメが戻ってきて巣作りを始める日、春の訪れを祝う節句です。
朝鮮王朝時代、女性たちが野山に出かけて焼いた餅の上にコウライツツジの花をのせてファヂョン(화전/花煎)を作るファヂョンノリ(화전놀리/花煎遊び)という行事がありました。
春を祝う行事食としては、花煎以外に、花麵、花菜、蕩平菜、香艾団もあります。
ファチェ(화채/花菜)は、貯蔵しておいたこまかく刻んだ梨、ザクロ、松の実をハチミツでといたスープです。
タンピョンチェ(탕평채/蕩平菜)の蕩平は蕩蕩平平という言葉を略したもので、どちらにも偏らないという意味です。緑豆ムクを細切りにして、豚肉、芹、海苔などを混ぜ合わせたもので、晩春の時食とされていました。以前はコルドンチェ(骨董菜、骨董はよく混ぜ合わせるという意味)と呼ばれましたが、18世紀初頭に権力闘争を繰り広げる両班たちを諌め、公平な立場を求めるための象徴の料理として用いられたことから蕩平菜の名で呼ばれるようになりました。
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