「宇治は茶所、茶は政所」と茶摘み歌に歌われ、かつては名茶産地として多くの茶師・茶摘み人が押し寄せたという近江政所は江戸・明治・大正まで山の下から上まで茶樹がずっと植わってたと言われるほど茶の生産が盛んな地でした。
時代とともに主産品も変わる近年、それでも政所のお茶は生産量を大きく減らし幻のお茶と言われるようになっても、品種改良の波にも呑まれず、労力軽減に奔ることもなく、家族のように大切にしているお茶の木をただただ生真面目に木が望むよう自然のままに育てて、また自分たちが飲みたいと思うお茶を作り続けてきた、時代の波に乗らなかったからこそ今在るのが政所のお茶なのです。
政所の茶樹はそのほとんどが在来種、山の急斜面に深く根をはり、冬には雪の重さにも耐える生命力があります。そんな政所の象徴的茶樹が天然記念物にもなっている三百年古茶樹。訪れたこの日は、落ち葉とススキがフカフカに敷かれた地面の上にはさらに真っ白な雪の布団が被って、その雪の重みのせいなのか、この古茶樹の冬の過ごし方なのか、古茶樹は伏すように枝を大地に広げていました。でも、健気にも、春になるとぴんと立ち上がって、今でも現役茶樹として頑張っているのだそうです。
滋賀県指定自然記念物
「政所の茶樹」
単株最大幹周30cm、高さ1.9m、枝張り東西7m・南北7.3m
在来種 樹齢300年
~2019年1月14日facebook記事より
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