室町時代から六百年以上の歴史を有する政所茶は、琵琶湖の源流域・永源寺一帯で栽培され、戦国時代には石田三成が豊臣秀吉に奉じて出世の機を得た「三献の茶」であったと言われています。
農薬や肥料のかわりにススキや落ち葉を用いた昔ながらの古法で育てられ、積雪の下で寒い冬を耐える在来茶樹は夏も近づく八十八夜から何夜も過ぎてからやっと一番茶を作る季節を迎えます。熟練者の手で丁寧にしごき摘みされた茶葉はまさに「三献の茶」、大切な相手に喜んでもらえるためにあるような高級茶になります。
その後、手摘みが行われた茶樹から新芽がでる前に梅雨の合間をにらみながら刈り取った枝葉を木桶でじっくり蒸して作るのが平番茶です。新芽が木桶に入ると、熱い蒸気にとけた柔らかい若芽が平番茶の特徴であるスッキリに影響を与えてしまいます。繁茂期の植物の成長と天候に追われながらの平番茶作り、今年は紫陽花よりも早く、本日が最終日でした。
到着した時に蒸されていたのは、川の両岸に茶畑がある佐藤家の枝葉(今年は碾茶も作られて、本来なら11月に抹茶になるところを新茶の抹茶として一部お披露目されたところ、なんと色鮮やで滋味穏やかで美味だったそうです)でした。木桶にぎゅうぎゅう最大限詰めれば200kgにもなりましょうか、枝葉量は生産者別に持ち込んだ量次第です。木桶に蓋をして、下から蒸気を30分流し続けます。蒸気で枝からほろっと葉が離れるので風選するのですが、昔は町の行事のように人が集って手作業で行っていましたが、現在は粗揉機を改造して行っています。枝を取り去ると水分を含んだ100kgほどの葉が残ります。最終工程の棚乾燥は80℃で30〜40分。20kgほどの平番茶はふわふわ大海5袋ほどのかさばりよう。これから半年熟成されて秋深まると飲み頃です。
本日のティータイムは箕川から歩いた後に休憩した道の駅で売っていたハンドメイドアップルパイと伝統桶蒸し製法平番茶ペットボトル。帰りには昨夜できたばかりの新平番茶を分けてもらいました😋秋まで待てるかな?🤣
2023年6月19日Facebook記事より