世界お茶まつり2016春、喫茶人の会は、5月13日(金)から15日(日)の毎日10時~16時、島田市お茶の郷博物館3階にて、ウエルカムティーコーナー、中国茶体験、トルコのチャイ体験、チベット族のバター茶体験を行いました。担当する中国茶コーナーでお出ししたお茶のひとつは、西湖龍井。
龍井茶は、中国の茶都、浙江省杭州で生産される中国緑茶を代表する扁形炒青緑茶です。
杭州の茶産地としての歴史は古く、陸羽の『茶経』には天竺、霊隠二寺で茶を産すると記載されています。霊隠寺が建てられたのは東晋咸和3年(328年)、天竺寺が建てられたのが咸和5年(330年)、当時仏教と茶の関係が密接であったため、東晋時代からこの地で茶栽培が行われていた可能性があると考えられているのです。北宋時代、杭州で生産された茶は香林茶(下天竺産)、白雲茶(上天竺産)、宝雲茶(葛嶺宝雲山産)という名前で存在し、それらは貢茶として献上されました。
貢茶としての歴史の中では、清朝第6代皇帝乾隆帝(在位1735~1796年)と最も深い縁があります。乾隆帝は江南を好み、江南の文物収集に意欲をしめし、北京の頤和園を江南風に改修したことで知られ、その生涯に南巡を6回行い、その中で4度も杭州に訪れ、龍井茶を題材に詩を詠み、獅峰の胡公廟で龍井茶を賞賛し、廟の前にある18株の茶樹を御茶園として封じました。
歴史上の産地や技術の別から獅(獅峰)、龍(龍井)、雲(五雲山)、虎(虎跑)、梅(梅家塢)に分けられ、なかでも獅峰龍井が最高とされました。杭州は名水の地とも知られ、龍井茶と虎跑泉は“茶水双絶”、また、茶葉の外観、水色、香気、滋味ともに優れているという意味の“四絶”と賞賛される中国を代表する緑茶です。
一芯一葉から一芯二葉を摘み、生葉の静置(攤放)→加熱による酸化停止(殺青)→初成形(青鍋)→軽揉成形(理条整形)→回潮、散熱(変湿、攤涼)→炒り乾燥(輝鍋)→篩分け(篩分)などの工程を経て作られます。(2016-5-11)
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